記事019 鳥海山の豊かな水を巡る~その4=玉簾滝

月光川(がっこうがわ)蒸留所のウイスキーの出発点ともいえる美味しい水とつながる鳥海山麓の湧水や滝、渓谷や池など豊かな水を訪ね歩いてみたいと思います。第五弾は「玉簾滝(たますだれたき)」です。

JR遊佐駅から40分弱、日向川沿いの道を山間へと入っていくと、玉簾滝に向かう遊歩道の入り口の駐車場に着きます。山形県内では有数の滝らしく、広い駐車場が用意されています。大勢の観光客がやってくるため、地元の有志が遊歩道整備と清掃に力を入れていて、協力金として100円の寄付を求めていました。月太郎もコインを箱に入れてから、神社の鳥居をくぐって、滝へと向かいます。滝までは約300m。10分とかからないようです。

左手に滝につながる川をみながら、整備された明るい道を進むと、大小3つの岩が並んでいる場所に出ます。これは「ぽんぽん石」と呼ばれ、この岩を丸い石で自分の歳の数だけ叩くとご利益があると言い伝えられているとか。月太郎は年配なので歳の数だけ叩くのは手間なので省きました。

さらに進むと、今度は遊歩道の右側に大きな岩が鎮座しています。しめ縄がかかっていて、厳かな雰囲気です。これは「目洗い石(眼石=まなぐいし)」と呼ばれ、岩のてっぺんに小さなくぼみがあり、そこに溜まった水で眼を洗うと目の病が治ったという伝説もあるようです。岩の後ろに回り込んで登り、くぼみを覗いたら水は枯れていました。

岩を過ぎると歩道は橋で川の反対側に移ります。この辺りから、行く手にうっそうとした杉木立が広がり、その幹の間からちらちらと白い滝が見えています。滝の手前に建っているのが御嶽神社のお社です。鳥居の手前に手水鉢がありますが、これは自然の湧水です。「里の銘水・やまがた百選」に選ばれた清水で、口に含むと柔らかさと膨らみが感じられました。手水鉢には色とりどりの花びらが浮かんでいました。神社は平安時代となる808年に弘法大師が開基したとされています。現在の社殿は1917年に再建されたもの。周囲の杉木立は樹齢が800年ほどと言われているそうです。

社殿を回り込むと真っ白い滝がいきなり登場です。落差63m、幅5m。滝の落ち口を離れた水が滝つぼへ直接落ちる直瀑としては県内随一の高さです。滝の幅が落ち口から滝つぼまで変わらないので白い布のようにも見えますが、目を凝らすと、細い白糸の集合体であることがわかります。珠暖簾(たまのれん)のように見えることから、玉簾と命名されたようです。

滝を形成している岩石は約1500万年前の噴火で流出した溶岩がゆっくりと固まったもので真っ黒く、白い滝の水とのコントラストが素晴らしいです。溶岩の一部は柱状節理という角材が縦に並んだ割れ目になっていて、滝の眺めをよりダイナミックにしています。

滝によって勢いよく落ちてきた水滴は衝突・分裂して微粒子化する際に、大きな水滴はプラスに、小さな水滴はマイナスに帯電します。このうち大きな水滴は重いので、滝壺や川の水にすぐに落下する一方、小さな水滴は霧状となって浮遊し、周囲の空気を負イオン化します。この現象を発見したドイツの物理学者の名前を取って、レナード効果と呼ぶそうです。これによって、滝周辺にはマイナスイオンが大量に漂い、これが心身のリラックスやストレス軽減に良いと言われているのです。

滝に近づくと、そのマイナスイオンたっぷりの水しぶきが霧状になって降ってきて、大変心地よいです。夏場は特に涼しくて、いつまでも留まっていたくなります。ゴールデンウイークとお盆の期間は夜間のライトアップがなされ、幻想的な景観が楽しめるそうで、次回はその時に足を運びたいと思いつつ、滝を後にしました。