2026年4月 記事013 麦芽粉砕の秘密

ウイスキー造りのスタートは仕入れた麦芽の粉砕です。今日はその様子を探りに、原料庫に足を運びました。

朝の9時30分すぎに、ミツヤスさんが麦芽の粉砕装置をONにしました。袋に詰まった約1トンの麦芽が轟音をたてる粉砕機を通って細かくされていきます。

砕かれたサイズによって、粗いものの方からハスク、グリッツ、フワラーの三つに分類されます。このうちの麦芽の殻の部分が多いハスクは、次の工程の麦汁造りの際に底の部分に沈殿して濾過槽の役目を果たすのだそうです。ただし、多すぎると濾過が進みにくくなるので要注意です。一方、残るグリッツとフラワーが糖化の主役ですが、粒のより小さいフラワーは糖化の促進に欠かせないものの、多すぎると溶解が先行して濾過槽が詰まったり、麦汁に濁りがでてしまいます。結局、三つの理想的な比率は一般的にはハスク20%、グリッツ70%、フラワー10%と物の本には書いてありますが、ミツヤスさんは「教科書通りにしたいのですが、ハスクを増やそうとするとフラワーも一緒に増えてしまいがち。それが悩みの種です」と言いながら、粉砕機からサンプルを引き抜いていました。

サンプルで比率を測定するため、自動篩機の前に移動します。自動篩機にはステンレス製の円形の物が3段に積まれています。上の二つは篩いで、一番下はボウルです。サンプルを一番上からザーッと流し込むと、電動で篩機がジグザグに揺れ、目の粗い一番上の篩にハスクが残って、グリッツとフラワーが下に落ちます。さらに、2段目の目の細かな篩にグリッツが残って、一番下のボウルにフラワーが落ちていく仕組みです。この日のミツヤスさんは「フラワーが多すぎますね。ハスクも増やしたいし、調整は難しいです」とつぶやきながら、粉砕装置を一旦OFFにしました。

そのうえで、ミルの調整を始めました。麦芽は二つのローラーに挟まれた隙間(0.8㍉~1.2㍉)を通過する際に砕かれますが、「そもそもの麦芽の硬さや水分量、その日の原料庫内の室温や湿度によって、砕け方が変わります。だからミルの調整は必須で、デリケートな仕事です」とミツヤスさんは難しい顔をしながら、調整に専念していました。

作業の邪魔になってはいけないと、月太郎はそっと原料庫を後にいたしました。