記事005 利き酒研修会の模様に潜入
月光川(がっこうがわ)蒸留所で貯蔵した原酒の熟成具合をチェックする大掛かりな利き酒研修会が行われました。その模様を見学してまいりました。
蒸留所が蒸留を始めたのが2023年10月。以後、熟成具合は不定期にチェックをしてきましたが、100点近い樽から原酒を抜き出して利き酒するのは初めてだったようです。
「準備には手間がかかりました。積んであった樽のなかから利き酒に使う樽を選んで、それを平場に下ろして、ずらりと並べてから、一本ずつ原酒を抜いて利き酒用の瓶に入れます。原酒は60度強あるので、利き酒するために加水して20度にしたものを別の瓶に並べます。原酒は熟成した色味を見るために、加水した瓶と並んで置きます。それを100セット近く用意したのでくたびれましたが、ずらりと並べた光景は壮観でしたね」と樽詰担当のヒロシさんは話してくれました。

当日は事務室隣にあるカウンターにずらりと利き酒の瓶が並びました。原酒の瓶と加水した瓶、それに加水した酒を注いで実際に利き酒するグラスです。利き酒の対象はバーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽で1年以上寝かせたものでした。空太郎のような素人目には原酒の色が濃い順にシェリー樽、ミズナラ樽、バーボン樽だったです。
利き酒会には蒸留所のメンバー全員が参加。また、熟成の良しあしや、熟成具合の判定のコツ、それらの中から出荷や熟成計画をどう立てていけばよいのかのアドバイスを受けるため、専門家を3人アドバイザーとして招いていました。
利き酒は最初は香りだけを嗅いで評価をし、続いて味を見て評価します。評点は4点を軸にして、より良いと思えば5点、少し足りなければ3点、明らかにオフフレーバーなどを感じたものはN(ノン)として除外するというやり方で進められました。蒸留所のメンバーも全員が評価を書きこむ紙を挟んだバインダー片手に、真剣な表情で1点ずつ香りを嗅ぎ、味を吟味する作業を黙々とこなしていきました。

この2年間の成果を垣間見る大切な機会だけに、部屋にはピリピリとした緊張感が漂っていました。興味深かったのは、味を見たあと、うつむいてじっと考え込む人がいるかと思えば、グラスの酒の色をじーっと見る人、天井を見ながら余韻を感じる人など、各自の仕草がバラバラだったことです。もちろん、みなさんが真剣勝負で評価をしていたわけですが。すべての作業が終わるのに2時間半かかりました。
お昼休みを挟んで、アドバイザーから講評がありました。酒に問題のあるものはなく、「バーボン樽の熟成のスピードはゆっくりと感じましたが、これからじっくりと良くなっていくでしょう。ミズナラ樽は良好な熟成具合のものが多かった。ともすれば渋味が強くなったりしますが、口当たりのよいものが多かった。シェリー樽のお酒は樽の材質がスパニッシュオークかアメリカンオークかで熟成具合が変わるので、同列に扱わず、様子を細かく観察するのが望ましい」などといった指摘をいただいていました。
ディスティラリーマネージャーのカズヒロさんは「貴重な利き酒の機会でした。いずれ、全員で利き酒の評価をぶつけ合って、これらの酒の中から、来春にリリースするNEWBORNに使う酒や、3年経過したら出す酒、もっと長期に熟成させる酒かを決めていきたい」と話していました。