2025年10月 記事002 もうすぐ登場する「NEW BORN」にワクワク感が高まる

2023年10月に産声を上げた月光川(がっこうがわ)蒸留所の貯蔵棟にはすでにウイスキー原酒が入った樽がたくさん眠っています。これまでは、蒸留したウイスキー原酒をそのまま瓶詰めした「NEW POT(ニューポット)」が2回売り出されました。透き通った清らかなお酒の評判はとても良く、イベントなどで飲んだ人たちからは「このままでもおいしい」「シングルモルトの登場が楽しみ」との声も多いと聞きます。しかし、まだ樽の香りを纏ったウイスキーは登場していません。

蒸留所が2歳の誕生日を迎え、樽で熟成が進んだお酒が増えてきて、いよいよ18~20か月熟成したウイスキー「NEW BORN(ニューボーン)」が来春登場します。寝かせているどの樽のお酒を選んで「NEW BORN」とするのか、現地に足を運びました。

ウイスキーの心地よい香りが漂う貯蔵棟には、数百の樽が並んでいます。樽の材質はバーボンウイスキー造りに使われた樽がメインで、そのほかにシェリー酒やワインの熟成に使った樽、日本固有のミズナラの木で作った新しい樽などにお酒が眠っています。ミズナラ樽のウイスキーには独特の香りと味わいがあり、世界各国から高い評価をもらっているので、樽材のすべてに使ったもののほか、樽の両端に使う円形の鏡板だけにミズナラを使った「ハイブリッド樽」なども使っています。これらのなかから「NEW BORN」が生まれます。

貯蔵棟を訪れた日は貯蔵部門担当のヒロシさんがバーボン樽の原酒チェックをしていました。大型クレーンを使って、目当てのバーボン樽を手前の重量計の上に移動させます。次に樽側面にある「ダボ穴」の栓をポコンと開けると、原酒のいい香りがプーンと立ち上って、鼻腔をくすぐります。その穴から銅製のスポイトのようなものを使って原酒をグラスに汲み上げ、香りや味わいの状態を確認していました。

纏っている香りはすでに芳醇ですが、口に含むと、「NEW POT」で感じる生まれたばかりの荒々しさの余韻が残りつつも、まろやかさの気配も見せていて、思わず「美味しい!。これがNEW BORNだといいなあ」とひとりごちていました。

昼休み後の製造事務室では「NEW BORN」の商品設計をどうするかの議論が盛んに交わされていました。複数の種類の樽で熟成された原酒同士を掛け合わせる際のバランスや、理想のパッケージデザインに至るまで、話題が尽きることはありませんでした。年内には詳細が決まり、年明けに出荷作業をして春には私たちも手に取り、口にすることができます。ワクワクしますね。

(月太郎の自己紹介)
昭和生まれの千葉在住のお酒好きです。30代の頃にスコッチウイスキーやバーボンウイスキーにハマった時期があり、蒸留所巡りに熱を入れました。お酒全般、なんでも飲みますが、近年注目されているジャパニーズウイスキーには興味があり、関連イベントなどにも足を運ぶ日々です。